「背景とコンセプト」
神栖市大野原は、戦後直ぐに開拓民によって原野が切り開かれ耕作が始まりました。その後鹿島港及び臨海工業地域の開発に伴い人口が増え、かつての農村風景から、住宅地へと大きく変わりつつあります。
そうした立地のなかで、おひさま保育園は0歳から2歳までの19人の園児を預かる小規模保育園として計画されました。
僅かにのこる田畑を正面に見据え、家庭的な雰囲気のなかで、子どもたち一人一人を丁寧に保育する園をコンセプトに、木造平屋建ての木の温もりと陽の光り溢れる健康的で、感性豊かな環境づくりを基本として設計しました。
「平面計画」
小さな子どもを抱えて、送り迎えするお母さんたちが、雨の日でも余裕をもって移動できるように、大きな屋根のあるデッキテラスを園舎入口に設けました。この空間は併せて小さな子どもたちを、日々のお散歩や災害時等の移動の際に、安全かつ効率よく園外へ移動できるスペースとなっています。
各保育室は南面に面しており、2方向からの自然採光と通風・換気を確保しました。また、天井のデザインを斜めの形とフラットな形を組み合わせ、快適性とともにリズム感のある楽しい室内としました。調理室は保育室に隣接し、家庭での食事の雰囲気となるように、園児と調理の職員がコミュニケーションをとりやすい配置としました。
「外観デザイン」
子どもたちが、楽しく登園できるように、屋根付きの大きなウッドデッキテラスがこどもたちを迎えます。また、地域のシンボルとなるよう、リズム感のあるデザインを意識しR屋根、切妻屋根など複数の形を組み合わせました。併せて近隣へ配慮して、建物の高さを抑えました。
「コストのスリム化」
コスト管理が難しい社会背景の中で、デザイン性、機能性、省エネ、メンテナンス性等を考慮し、施主を交えて建材及び設備器具等の仕様や能力に検討を重ね、特に水廻りは過不足無い範囲でスペースと器具の数や仕様を切り詰めるなど、品質を保ちながらコストのスリム化を図りました。
