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CASE 17

旧家に残る古蔵を地域の図書館へとリノべーション

リノベーション かすみがうら市 2021

コンセプト

背景・概要
 蔵図書館は、かすみがうら市最北部の高倉地区内に位置します。かつて、この地は志筑藩に属し、豊かな歴史文化のある地域として知られ、今も往時を偲ぶ門や塀のめぐった構えの民家が多く残っています。
 そうした高倉地区内の旧家の一角に残る古蔵(土蔵)を、地域のコミュニティに開かれた図書館へとリノベーションしました。図書館内には薪ストーブのあるカフェスペースが併設され、誰もが気軽に立ち寄れる交流スペースとしての役割も兼ね備えています。
 また、恋瀬川沿いのサイクリングコースに隣接しており、サイクリストの方々の小休止(外トイレも併設)の場所としての利用も想定しています。
設計コンセプト
 古蔵(土蔵)は明治時代の後期から大正時代前期頃の創建と推測します。長年にわたる風雨による経年劣化に加え、大震災等で被災し、外壁の漆喰壁及び土壁の崩落など大きな損傷が各所に見られました。今回のリノべーションでは床・壁の構造的な補強も行いました。
 外壁は伝統的左官技術による漆喰塗、腰壁部分は”なまこ壁“(デザインは一新)をもちいて、かつての豊かな農村の原風景を保全するデザインを訴求しました。
 重厚な扉を開けて内部ヘ入ると、杉板を黒く塗装した本棚(≒MAX3000冊の蔵書)が床から天井まで連続しています。一面のみ土蔵造りを理解する意味も含め土壁表しとし異風景としています。1階にはミニマムな水廻りと薪ストーブ、造り付けの丸い椅子が設えてあり、お茶を飲みながら読書することも可能です。
 蔵らしい仄暗さを楽しむ事と蔵書の変色を避けるため、照明による明かりは最小限に抑え、窓ガラスも開閉式の引き戸を設けて自然光を調整可能にしています。2階へと続く階段は、時間軸的な連続性(循環)をイメージし、カーブを描いた軽快なスチール製階段を設えるなど、モダニズムをクラシカルが包覆する不思議な感覚の落ち着きを醸し出しています。
 図書館の外には、ツリーハウスや屋外の読書スペース、パーゴラもあり、子供から大人まで、外遊びやゆっくりと読書を楽しめるスポットが散りばめられています。また蔵に隣接して木と漆喰によるミニマリズムな外トイレを建てました。
蔵についてのビジョン
 創建当時の蔵の機能(防火・防水・防犯)は、現代においては不要なものとなり、使い勝手の不便さやメンテナンスの問題などで、多くの蔵が解体を余儀なくされていますが、農村文化の原風景としての景観的優位性、かつての家の繁栄の証、建築文化としての価値、さらに現在では建てられないものとして、新たなニーズを作り次世代へと維持継承していくことが、地域の持続可能なまちづくりとしてとても必要だと考えます。
 同時に当該事業は、かすみがうら市まちづくりファンド助成事業(ハード)を活用しての整備となりましたが、こうした事例は未だ少なく、今後こうした各地域に残る貴重な古建築を文化的に継続して活用していく為に、この様な公的なサポートは必要不可欠な事と思います。そういう意味でも、蔵図書館は先進的な事例となる事と存じます。

完成までのブログ
特徴
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外観

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腰壁部分のなまこ壁

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重厚な扉

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一面のみ土蔵造りを理解する意味も含め土壁表しました

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時間軸的な連続性(循環)をイメージした螺旋階段

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杉板を黒く塗装した本棚

コンセプト
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コンセプト

所 在

茨城県かすみがうら市

施 主

志筑地区イノベーション組合

創 建

明治後期~大正期頃(推定)

敷地面積

942.48㎡(285.10坪)

建築面積

21.66㎡(6.55坪)

延床面積

26.43㎡(8.00坪)

構造・用途

木造2階建て(土蔵造り)・図書館

工事種別

改修工事

竣 工

2021年 3月

設 計

㈲吉田建築計画事務所 (構造:谷亮介構造設計室)

担 当

吉田・児玉・川﨑