敷地と立地
敷地はTX線守谷駅から南へ約2.4キロに位置し、宅地化が進む守谷市内にあって、ここは市街化調整区域内のため、周囲に農地が点在する比較的静かな環境にあります。敷地南側の100m程先にTX線の高架があり、バルコニーからは電車の走る姿を眺めることができます。
シンボル性と環境との繋がり
手前が狭く奥に広がる旗竿型の敷地形状に対し、カーブを描いた建物形状は、視線を奥へ奥へと誘導します。
奥行感と変化のあるデザインは、保育の拠点としての「シンボル性」と「活気」、また地域の景観に馴染む両面を内包し、保育園と地域が良い関係に繋がる事を意図しました。建物は道路からセットバックし、木々を植え、外部は木材や塗り壁などナチュラルテイストでトーンを抑え、屋根も低くするなど、周辺環境との調和に配慮しました。
優しいアプローチ
エントランス前に設けた広めのポーチは、見上げると円形のバルコニーが屋根になっています。高低差のある敷地のための大きな階段は半円形とし、その階段を取り囲むように大きくカーブしたスロープと木製の手すりが、優しく子供たちを優しく出向かえます。
色彩と空間のハーモニー
「こころ」と「からだ」を育むという保育テーマに沿い、子供たちが楽しくからだを動かせるよう、木造による暖かく開放性の高い空間とし、クライミングウォールも設けました。家具や洗面カウンター、棚など細部のデザインも、子供の豊かな感性を育むよう工夫を凝らし、壁紙、タイルでアクセント色を用いました。園長先生はじめ保育士の方々と打ち合わせを重ね、調和のとれた楽し気な色彩となりました。
自然を感じる心地よい園舎
子供たちの体に優しい素材として、床や階段・家具に天然木材を使用しています。大きくカーブした南側のバルコニーからは、自然光が差し込み、風が通り抜け、季節の移ろいを感じると共に、互いの表情をいながらに認識することができ良いコミュニケーションが図れます。
自然と触れ合う体験や安全・安心な保育環境を通して、子供たちが健やかに成長できる園舎づくりを目指しました。
CASE 16(木造園舎)
momなないろ 木造2階建(準耐火建築物) 新築工事 守谷市 2020(公募型プロポーザル)
momなないろ 園長 倉俣 真理
「五感を通して心も身体も健やかに育んでほしい」
園舎のモデルを探すなかで、ひと際目を奪われたのが、吉田建築計画事務所さんでした。
弧を描いた園舎は、弊社が運営していた保育園「なないろナーサリー」の理念や方針に見事に当てはまり、それは子どもを愛情いっぱいに抱きしめる母の姿そのものに映りました。新たに認可保育所として、この園舎で温かい日差しに包まれ、伸び伸びと過ごす子ども達を想像するだけで歓びが込みあげてきました。そして設計図が出来上がる前に「momなないろ」と命名し、子ども達にとってここが第二の家となり、心温まるようなそんな日々が送れることを確信しながら、完成を心待ちにしました。開園して半年が経ち、保育室の手洗い場やロッカー、絵本コーナー、ボルダリング、ホール、なないろトレードマークの星モチーフやカラー等、私共の希望を一つずつ叶えていただいた園舎は、ほんの少しあめ色に染まった木の温かいぬくもりと共に子ども達の心豊かな毎日を支え、働く私達の心まで楽しませてくれています。
つくばTX線から望む園舎は、子ども達と都心へと向かう親御さんを繋いでくださる場所として、また、ここを巣立った子ども達が電車から覗く園舎をいつまでも懐かしい思い出の場所として、いつまでも心の中に残っていくことでしょう。
心地よい空間の中で、子ども一人ひとりの五感を通して心も身体も健やかに育んでほしいと共に願いながら一つひとつ創り上げてこられたことが何よりも嬉しく思います。
ご尽力いただいた吉田さん、山本さんには心から感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。
事業主 |
株式会社 トゥインクル | |
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施設名 |
momなないろ | |
所在地 |
茨城県守谷市 | |
用途地域 |
未指定 | |
地域地区 |
市街化調整区域 | |
主要用途 |
保育園 定員77 | |
工事種別 |
新築 | |
構 造 |
木造(KES工法) 階数:2階 準耐火建築物 | |
竣 工 |
2020年 7月 | |
敷地面積 |
1422.31㎡(430.24坪) | |
建築面積 |
398.55㎡(120.56坪) | |
延床面積 |
697.70㎡(211.05坪) | |
設 計 |
㈲吉田建築計画事務所 | |
担 当 |
吉田・山本 | |
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