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「茨城の古民家再生展」終了し、思うこと。

建具の再利用

 民家を再生する際に、使わなくなった建具を再利用する場合、デザインや状態、サイズをもとに適材適所での利用を判断します。
 K邸では3室続きの間であった室を、耐震性と使い勝手を考慮して壁を設置してそれぞれ個室としました。そこで余った板戸(写真:右)をホール空間と居間を仕切る間仕切戸として活用。その際に、建具を居間より1段下がったホール(土空間に床を張った)の床まで15㎝ほど下げるため、文字通り下駄をはかせました。
 また写真右では、引き違いの4枚扉でしたが、再利用後は戸袋を使って引き込み戸としたことで、居間とホールを一体として活用することが可能となりました。

K 邸再生前、3 室の間を壁にするため板戸が不要となる

K邸再生後 下駄をはかせた板戸を閉めた状態

板戸を戸袋に引き込んだ状態

 他に、I 邸では廃棄した建具のガラスを新たな建具に活用することで、味わい深い雰囲気を醸し出すことができました。

I邸再生後 明かり取りにガラスの建具を再利用した

設備の配線・配管を隠す

 次に設備(電線、空調のドレン・冷媒管)の配管・配線の隠し方について。
 外部に接しない居室の配管は、隠すのに苦労しますが、手法の一つとして構造材のように見せて、実は意匠的に設けたダミーの梁(一部をくりぬいて)を使って通す方法があります。
 小屋梁を新しく入れかえる場合、解体した他の民家で不要となった梁を活用することもあります。

古民家再生コラム
写真 建具や梁の再利用や工夫

民家を再生する際に使わなくなった建具は、デザインや状態、サイズをもとに適材適所で再利用します。古い建具を新たに活用することで、味わい深い雰囲気を醸し出すことができます。居室の配管は隠すのに苦労しますがダミーの梁を設け、一部をくりぬいて通す方法があります。

写真 「茨城の古民家再生展」終了し、思うこと

古民家を次の世代へと繋ぐことは、歴史ある町並みを繋ぐこととなり、これからの豊かな地域づくりにとても大切なことです。古民家の魅力を感じつつ、家族3人が思い思いにすごせる居場所づくりを大切なテーマに再生を行いました。

写真 「茨城の古民家再生展」終了し、思うこと

東日本大震災を乗り越えて建つ、大切な地域の資源である古民家を、次世代へと住み繋いで行くことの重要性やその意義を、これまでの事例を基に多くの方々に知っていただき、古民家を1軒でも多く残したい、茨城の美し原風景を残したいという思いから展覧会を行いました。

写真 風景と暮らしを繋ぐ外構デザイン

歴史ある街並みの連続性を持つことが、その土地特有の美しい情景を残すことに繋がります。個人のライフスタイルを満足させること、誰もが美しいと思える伝統ある風景を創ることの両立が、より魅力的な民家再生つながるとともに、次世代へ継承するポイントになると思います。

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