保育園、こども園、幼稚園の新築・増築、改築のご計画にあたり、用地取得等と併せ資金計画が必要となります。一般的には国及び地方自治体(窓口)による交付金や各種補助金を主に、不足分を福祉医療機構からの融資制度で補うケースが基本になっています。
所轄の地方自治体(窓口)への交付金及び補助金申し込み方法や、融資制度について是非、お気軽にご相談ください
病児保育園の新制度
●病児保育事業
病児保育園について、今年4月から厚生労働省が施設整備及び運営費について新たな補助金を設けました。現在、弊社でもこの新制度を使って平成29年4月開園予定の、病児保育園の設計を行っています。
今までは、近くに病児保育所がなかったり、定員がいっぱいでキャンセル待ちになったりというケースが多く、病児保育園の設置についてのニーズは多く上がっていました。
厚生労働省は、現在病児保育の年間利用者は57万人ですが、2020年には延べ150万人まで増加させるよう病児保育施設の拡充に努めると目標を挙げています。
新制度では病児保育施設の施設整備や改修に対する費用について、基準額の9/10(国3/10・県3/10・市町村3/10)補助する仕組みです。
また、保育園へ子供を預ける保護者側の負担は2000円/日とのことです。
設計を行っている中で、受け入れ側から見ると、様々な症状のケースが予想される中、限られたスタッフでの対応を考えると、通常の保育とは違った幅広い視野と、衛生管理面でのリスク回避の動線計画など、より専門的な検討が必要になることが分かってきます。そして何よりも、病気で不安な子供たちが安心して過ごせる場所とならなければなりません。
まだまだ試行錯誤を繰り返しながらの分野であると思いますが、こうした新たな病児保育園が各地域にできることで、女性が働きやすい環境が一つ整う事につながると思われます。同時に、雇用する企業側からは人材の確保という面で大いに期待されることと思います。
参考:病児保育事業についてー内閣府(PDF:47KB)
企業主導型保育事業について
●企業主導型保育事業
平成28年にスタートした企業主導型保育事業が4月の法改正によって、会社がつくる保育園に認可保育園並みの補助金が給付されることになりました。
当該補助金によって、5万人規模の待機児童を解消する目標が掲げられた「企業主導型保育事業」が動き出しています。
補助費については保育園の園舎整備費に基本単価の3/4加えて、病児保育・一時預かりスペース・特殊付帯設備工事費などが加算される仕組みです。
内閣府ホームページ:http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/gaiyo.html
保育園の市場は、2000年の規制緩和により、株式会社などの参入が可能となりましたが、採算が合わず2013年時点で、株式会社の割合は2%と参入が進みませんでした。しかし、今回の法改正で無認可保育園ながら運営にも補助金が出るということで、一気にその数が増えそうです。
去る9/2の内閣府の発表によりますと、第一期(2016年6月締め切り)には311施設からの申請があり、そのうち助成決定 が150件 (約76億円:全て施設整備費)利用定員数 3,887名。また、第一期の助成申請のうち、書類が不備等の理由により審査が終了していない施設整備費についても、今後書類審査が終了次第、随時、助成決定を行っていくとのことです。
また、先日、第 2 次募集(8月 31 日〆切)を行ったところであり、今後も、予算の範囲内において、概ね2か月ごとに締切りを区切って募集する予定とのことです。
施設整備予定数が1700なのですが、来年の中旬頃には終了するのではないかと思われます。
保育市場に企業が参入することで、国の問題(待機児童解消)と、企業の雇用問題(人材確保、雇用を維持・確保)が解消に向かえば、日本にとって大きなプラスとなるのではと思います。しかし、一方で保育の質の問題と、800億円近い予算を使うに当たり、財政効率の問題等を懸念する意見が、それぞれの専門家から出ています。
こうした問題解決には、我々設計者が積極的にかかわる必要性があります。それは設計者が唯一、事業者・行政・保護者・子供たちと向き合い、それを具現化できるポジションにあるからです。箱モノが敬遠される中で、新たな関係性での保育環境を、価値ある建築として認められる提案をする機会であると思います。
補助金
●森林・林業再生基盤づくり交付金(林野庁)
私たちの国の森林は、戦後造林した人工林が本格的な利用期を迎えています。森林・林業の成長産業化を実現するために、高性能林業機械、品質・性能の確かな製品を加工するための施設、木材利用を拡大するための木造公共建築物の整備など、川上から川下までの様々な取組について、地域の自主性を尊重しながら支援しています。
地域材を利用した木の園舎もこれに該当します。補助率も建設費の1/2と高く、利用しやすい制度です。
■関連する主な補助対象事業
補助対象事業 | 補助基準額 | 補助率 |
---|---|---|
木造公共建築物等の整備 | 公共施設整備に要する経費 | 1/2 |
■林野庁ホームページ 「森林・林業再生基盤づくり交付金」
http://www.rinya.maff.go.jp/j/keiei/kouzoukaizen/koufukin.html
融資
●福祉貸付事業(独立行政法人福祉医療機構)
■融資を受けられる対象
・特別養護老人ホーム、ケアハウス、老人デイサービスセンターなどの老人福祉施設
・障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス
・保育所、児童養護施設、障害児入所施設などの児童福祉施設
・在宅サービス事業などのシルバーサービス事業
■資金の種類
・建築資金(新築、改築、拡張、改造・修理、購入などに必要な資金)
・設備備品整備資金(機械器具、備品などの整備資金)
・土地取得資金
■利率
・貸付契約時の利率となります(金融情勢に応じて変わります)。
・貸付契約10年経過毎に金利を見直す制度もあります。
<無利子融資>国等の補助による地震対策緊急整備事業等については、全期間無利子融資となります。
■融資額の限度
基準事業費より法的・制度的補助金等を控除した金額に融資率(融資対象施設により80%、75%、70%)を乗じた金額が限度。
■融資期間
・融資の対象や資金の種類等によって異なります(5年~30年以内)
・融資期間に応じた据置期間が設けられています(6カ月以内~3年以内)
■独立行政法人福祉医療機構ホームページ 福祉貸付事業
http://hp.wam.go.jp/guide/fukushikashitsuke/outline/tabid/149/Default.aspx
新制度
●子ども・子育て支援新制度
すべての子どもたちが、笑顔で成長していくために。すべての家庭が安心して子育てでき、育てる喜びを感じられるために。「子ども・子育て支援新制度」が平成27年度よりスタートします。
■新制度の主なポイント
・認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付、及び小規模保育等への給付の創設
・認定こども園制度の改善(幼保連携型認定こども園の改善等)
・地域の実情に応じた子ども・子育て支援の充実(利用者支援、地域子育て支援拠点、放課後児童クラブ等)
詳しくは内閣府発行のパンフレットをご覧ください。新制度の内容がイラストを交え、分りやすく解説されています。(PDFファイル:約2MB)
■内閣府ホームホームページ 「子ども・子育て支援新制度」
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/