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2023-12-20

保育園・認定こども園の建設コストの推移(こども園へ移行をお考えの事業者の方へ)

弊社では近年、築40年以上の園舎を所有しておられる、特に幼稚園の事業者から、認定こども園化への移行に伴う園舎建て替えに関するご相談や「今後の園児数の動向や運営の手法」など、経営全般に関するお話を多く伺います。特にここ数年で跳ね上がったまま推移している建築コストについて、事業計画を立てるうえで気にされている所です。

福祉医療機構のデータから、保育所および認定こども園の建設費の推移は、2023年度で平米単価の全国平均は 402,000円と前年度から 26,000円上昇。首都圏は 456,000円と前年度から 19,000円上昇し、平米単価は過去10年間で全国平均で1.51倍、首都圏で 1.54 倍上昇となっています。

よく質問されるのが、この先のコストの予想ですが、私はしばらくの間、微増が続くと思っています。木造である場合は構造材に木材については、ウッドショック以前にもどりつつありますが、他の建材は高止まりが続いています。また、私の現場でもそうですが、慢性的な熟練工職人の不足が続いており、更には働き方改革により建設現場も週休二日の方向で進んでいます。そうなれば職人の日額報酬は更に上がり、現場の休みが増えれば工期が伸び、その分現場経費(仮設工事、現場監督の人件費、光熱費等)も上がりすべてが建設コストに跳ね返って来るのは明らかです。


また運営面ですが、幼稚園からこども園へ移行する際の、2・3号保育の定員について、最近になり、多くの自治体で事業者の希望に反して、抑える傾向が見られるようになっています。ここに来て、既存保育園で定員割れを起こしているのが大きな理由です。園舎を作れば埋まる時代から選ばれる時代へと急転化が始まっています。

そこで早い段階(開園予定の1年半~2年前)で構想・基本計画(敷地の決定・測量、園のビジョン、間取り・デザイン、スケジュール)をまとめ、地元自治体との定員や補助額のすり合わせを行い、併せて総事業費(建設費+設計・開発設計の費用)の目安を把握することが大切です。想定以上に工事費が生じるのが①外構工事(園庭、駐車場、消防水利)と②杭工事です。開発行為申請に該当するかしないかで総事業費と設計スケジュールが大幅に変わります。特に敷地を移転する際や敷地拡張の際は要注意です。また、杭工事は敷地の地耐力によって必要か否か、必要な場合は杭の強度と長さによっては数千万円という金額になります。加えて杭の納期が数か月かかる場合も有り、全体スケジュールに大きく影響を及ぼします。

いづれも早い段階で、様々な課題や与条件(フロントローディング)を洗い出して、一つ一つクリアーしておく必要が有ります。その為に保育園やこども園を専門としている弊社へ、是非ご相談して頂きたいと存じます。そして適正なコストと適正な工期のなかで高品質(園児もスタッフも地域の人たちも、皆笑顔になれる園舎)且つ、環境へ配慮した園舎をつくる事が何よりも大切だと考えます。

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