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2023-09-24

モロッコ建築視察Ⅰ

コロナ禍もあり4年ぶりとなる海外視察となりました。今回は初めてのアフリカ大陸として、モロッコを訪れました。

視察研修の日程は、9/12(水)~21(水)の10日間で、フェズから時計回りにメルズーガ、アイトベンハドゥ、マラケシュ、カサブランカを中心に回ってきました。大学教授の青木茂先生・村上心先生はじめ、建築設計事務所、建設会社等、建築関係の方々が主に参加されました。
出発4日前の現地9/8(金)にモロッコ南部で大地震が発生し、開催が危ぶまれましたが、旅行会社の詳細な調べで、目的地では日常を取り戻していて、インフラ等も影響が見られないとの事で催行されました。

モロッコまでの道のり

日本からモロッコまでは直行便がく、成田からカタールのドーハ経由(成田~ドーハで11時間)しての空の旅となります。

ドーハ・ハマド国際空港  設計はアメリカの設計事務所ヘルムース・オバタ・カッサバウムで、施工は日本の大成建設。
https://dohahamadairport.com/

一番新しいEゲートに到着、ウェーブした天井 ガラスが印象的です。しかし掃除が大変そうです。

到着したのが早朝4時にもかかわらず、ほとんどのお店は営業していて、利用客も多く活気がありました。携帯電話やipadの充電器のある インターネットスペース は深夜でも満席でした。建物はガラスがふんだんに使われていて明るく、 館内に忽然と現れるヤシの木など、 現代的でスタイリッシュな印象です。規模も大きな空港ですが、空間全体を見通せ て、全搭乗ゲートヘワンルームでつながっているため、初めての利用者でも空間認識がしやすい設計になっています。また搭乗ゲートのアルファベットが大きく電光表示されるなど、サイン計画もシンプルで目的地が分かりやすい工夫がされていました。

見通しの良いコンコース

今やヨーロッパとアジアを結ぶ中東のハブ空港です。 50以上の搭乗口を備える巨大なターミナルの為、搭乗エリアの上を無人のピープルムーバーが24時間走ります。

9/13(水)1日目

▬カサブランカ・ムハンマド5世国際空港に到着

午後13:30にカサブランカに到着しました。入国審査を受けて、モロッコに入国しました。成田空港を出発し、ドーハでの3時間のトランジットを含めて、約21時間かかりました。これから現地での情報を精査しての行程となります。 また被災されたモロッコの方々に哀悼の意を表しつつ、建築視察を行っていきます 。

-モロッコの歴史
モロッコは アフリカ大陸の北西部に位置し、北部は地中海の入り口であるジブラルタル海峡に接しています。 ヨーロッパとは14kmという距離にあり、地政学上、ローマ帝国やイスラム帝国の一部となる歴史を歩んできており、さまざまな政治的・文化的・宗教的な影響を受けてきました。 また 19世紀にフランス領となり、その後、1956年にモロッコ王国として独立を果たしました。公用語は アラビア語とベルベル語が使われていて、マラケシュなど都市部ではフランス語も使われているそうです。

入国審査の様子。入国の目的のみ聞かれて問題なく通過しました。

カサブランカ空港から、バスで一路フェズへ向かいます。 所要時間は約4.5時間、340kmの道のりです。

フェズの街並み 大きな城壁の向こうは王宮。

車窓から午後7:00頃のフェズの街並み。まだ気温は30℃ほどありますが、皆さん日向に座っておしゃべりしています。 そして本日から3泊するホテル「ル・メリニド・フェズ」へ到着。 https://www.lesmerinides.com/ja/

ホテル「ル・メリニド・フェズ」 のロビー 

ホテルのテラス

ホテル 「ル・メリニド・フェズ」 はフェズの町の北側にある丘の上に建ち、フェズの街を一望できます。この眺望の良さがホテルの最大の売りのようです。

かなり年期のはいった 客室。

9/14(木) 2日目

フェズ 2日目
いよいよ明日からアトラス山脈を横断しながら、モロッコの地を全行程2200km移動する旅がスタートします。昨夜は初めてのモロッコ料理と地元ワインを頂き、早々に就寝しました。
今朝は未明から響くコーランの音で目が覚めました。早々に朝食を済ませホテルを7:30に出発して 、最初の目的地のヴォルビリスのローマ遺跡(世界遺産)へと向かいました。
 ヴォルビリスへ向かう道中の風景は、ジブラルタル海峡を渡れば、スペインのアンダルシア地方という事もあり、オリーブ畑が面々と連なる緩やかな丘陵の景色と、赤茶けた乾いた大地の風合いがとても似ているように見えました。

ヴォルビリスのローマ遺跡(世界遺産)

バスで走っていると雄大な平原の中に突然現れたヴォルビリスのローマ遺跡。ここはモロッコ最大の古代ローマ遺跡で、紀元前40年頃にローマの属領となった街で、当時は2万人もの人々が暮らしていたそうです。1755年のリスボン大地震で大きな損害を受け、1874年よりフランスの考古学者グループにより、発掘が始まり現在まで細々と続いているそうです。チケット売り場から右へ小道を歩いてビーナスの家から見学し、ギリシャ青年の家、オルフェウスの家、カラカラ帝の凱旋門、バジリカ礼拝堂など、約1時間で視察を終えて、この後途中でランチを挟んで、次の目的地のシャウエンへと向かいます。

フェズからヴォルビリス遺跡にむかう道中 、車窓から見える景色。
カラカラ帝の凱旋門。

知見の深い説明を、独学で覚えたという流著な日本語で話してくれる地元のガイドのマ・ダニさん。

緻密なモザイクタイルで、象や馬など様々な動物が描かれています。


▬青い迷宮都市、シャウエンの街並み

ヴォルビリスの 遺跡から、約4時間かけて午後3:00にシャウエンに到着。迷宮に迷い込んだような、青い街並みが続くシャウエン (正式名称はシェフシャウエン)は、正に 「おとぎの国」のようです。また 地中海に近く、日本と同じように四季が有り今は秋との事です、それでも午後3:00の気温は34℃ありました。但し湿度は15%と低く日陰に入ると涼しく感じます。

シャウエンのメディナの入り口のアイン門

アイン門前から メディナ(旧市街) 視察がスタート。反対側の北東のオンサー門まで約1.5キロを往復するコース。ここでの滞在は1時間半程度ですので、マダニさんの説明を聞きながら、足早に歩いて街並みをめぐりました。

この街の成り立ちは、アンダルシア地方で起きたレコンキスタ(8世紀から15世紀)により、スペイン本土から逃れてきた、回教徒やダヤ人によってつくられ発展した街で 、また400年以上にわたって異教徒の立ち入りを禁じてきた、神秘のベールに包まれた街という一面もあります。そして 1920年からスペイン領モロッコとなった歴史もあり、今もスペインからの観光客も多く、スペイン語を話す人が多い地区との事。建物もアンダルシア地方に見られるムーア様式のアーチやアラベスク模様、タイルアートなどその特徴がいまも色濃く残っています。

カラフルな民族衣装を売る店
異国情緒あふれる唯一無二の不思議な世界感

どこを見ても濃淡はありますが青一色です。灼熱の国らしい民族衣装もあいまって不思議な童話の世界に迷い込んだ感じになります。


アップダウン のある狭い路地 が魅力的です。
絨毯を売る店
アウトタエルハマム広場にあるグラン・モスク 。

ウタ・エル・ハマム 広場はメディナの中心部にあり、カフェやレストラン、お土産物屋さんが軒を並べます。

カフェ「 Restaurant Hamsa 」

ウタ・エル・ハマム広場に面したカフェで休憩。
室内の席に座ろうとしたら、男性の店員がわざわざ 街が一望できるテラス席まで案内しくれました。ホスピタリティの良さに感動しつつ、 フレッシュリンゴジュース(ビールが無いので)を注文しましたが美味でした。

この街をフェズから日帰りのスケジュールで観るには、全く時間が足りませんし、また往復8時間のバスの移動は、かなりハードな工程でした。(^-^;
シャウエンに行かれる方は、ここで一泊されて、ゆっくりと街歩きを楽しまれることをお勧めします。

夕方4:30に再びフェズへ向けてシャウエンを出発し、途中で小休止をとり、午後9:00過ぎにメディナ内にあるレストランへ到着。

フェズ2日目の夕食は「DAR HATIM」

今夜のレストランは「DAR HATIM」 迷宮フェズのメディナ内にあり、ガイド無しではいけないような狭い路地の奥にあります。GOOGL★4.5と高評価のお店です。

9世紀に建てられたとのリアド(古い邸宅)を改装した室内は彫刻や透かし彫り等、イスラム建築の高い職人技を緻密に再現されています。建物を見るだけでも一見の価値が有ります。

モロッカンタイルの床と幾何学模様に縁取られた壁の装飾
建築だけでなく、テーブルも彫刻のレリーフなどモロッコを感じさせる装飾です。

食事も丁寧に作られたモロッコの伝統的な家庭料理で、ヘルシーで美味しかったです。陶器製の食器も、一見すると古伊万里のような素敵な器でした。家族経営のお店でイケメンの息子さんや、女将さんがとてもフレンドリーで、楽しい雰囲気で食事が出来ました。フェズに行く際はお勧めします!

メイン料理の鳥のゲバブ

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