講演会に参加しました
建築の尺度を考える ― 槇総合計画事務所60周年記念展と建築勉強会に参加して
7月18日、代官山のヒルサイドウエスト(槇総合計画事務所による設計)で開催された勉強会に参加しました。講演会後には同建物内にございます、槇総合計画事務所様の事務所も見学させていただくことができました。同事務所は本年60周年を迎えられ、現在記念展も開催されており、これまでの代表作やその設計思想、そして歩みを振り返る貴重なお話を伺う機会となりました。
今回のゲスト講師は、株式会社槇総合計画事務所代表取締役で、建築家の亀本ゲーリー氏。テーマは「建築の尺度 ― 人間・場所性・時」。講演の冒頭で亀本氏は、「今日は皆さんと一緒に、良い建築とは何かを考えていきたい」と語られ、その言葉が印象的でした。
講演では槇文彦氏の思想にも触れられました。「一本の木がその姿を成すまでには長い歳月を要する。人の人生もまた、その形が見えてくるのは時を重ねた頃である」という言葉には深く共感しました。建築もまた、完成した瞬間が終わりではなく、人々の営みや地域との関わりの中で時間を重ねながら価値を育んでいくものだと改めて感じました。また、人は環境から影響を受けながら成長し、建築も人と環境の相互作用によって意味を深めていくという考え方は、私自身の設計姿勢とも重なるものでした。
さらに、槇文彦氏が東京大学時代に丹下健三氏、ハーバード大学ではホセ・ルイ・セルト氏という二人の恩師から大きな影響を受けたこと、そしてハーバード大学でアーバンデザインという新しい分野の黎明期に学んだことなど、思想形成の背景を知ることができ、大変興味深い内容でした。
今回の勉強会を通して、「良い建築」とは単に美しい建物をつくることではなく、人間を中心に据え、その土地の個性を尊重し、時を重ねることで価値が深まる建築であることを改めて学びました。日々の設計においても、「人間・場所・時間」という三つの尺度を大切にしながら、一つひとつの建築に向き合っていきたいと思います。また同事務所が設計した建物のうち、幾つかが後に社会状況の変化等で、解体の話が浮上したが、いづれも市民運動によって守られ今も使われているとのお話はとても感動的でした。
私が取り組んでいる古民家再生や保育施設の設計においても、この「人間・場所・時間」という視点を大切にし、その土地の記憶や文化を未来へつなぎ、そこに集う人々が長く愛着を持って暮らし、育ち、使い続けられる建築を目指して、これからも一つひとつ丁寧に設計に取り組んでいきたいと思います。













