園舎づくりに大切なこと。
地域の風土を活かす人・モノ・技術のネットワークづくりとそのプロセス
子どもたちが日々を過ごす園舎には、「安全性」や「機能性」だけではなく、その土地の風土や文化を感じられる豊かさが大切だと考えています。私はこれまで、地域産木材を活かした木造園舎の設計に数多く携わってきました。その根底にあるのは、「地域の木で、地域の子どもたちを育てたい」という想いです。
日本の伝統建築には、その土地の気候や自然条件に適応しながら、人と自然が共生してきた知恵があります。園舎づくりにおいても、そうした考え方を大切にし、地域産木材をはじめ、瓦・石・和紙・土などの地場産材を積極的に取り入れた、自然循環型の建築を目指しています。
しかし近年は、コロナ禍によるウッドショックや木材価格の高騰、さらに林業従事者や製材業者の減少などにより、木材の安定供給が大きな課題となっています。鉄骨造やコンクリート造に比べ、木造建築は地域ごとの供給体制や品質管理の影響を強く受けるため、設計段階から丁寧な調整と連携が欠かせません。
そのため私は、基本構想・基本設計の早い段階から、建設地周辺の森林組合や製材会社、木材関係者のもとへ足を運びます。そこで、伐採される樹種や供給量、納期、コストなどについて直接ヒアリングを行い、地域材の現状を把握します。
さらに、木材の乾燥方法や加工体制、プレカット工場との連携状況など、品質管理や流通体制についても確認し、その情報を設計へフィードバックしています。こうした「川上から川下まで」のネットワークづくりを丁寧に行うことで、開園時期が決まっている園舎建設においても、地域材を安定的に活用することが可能になります。
群馬県富岡市で設計した「めぶきの森保育園」では、地元の森林組合の皆様に多大なご協力をいただきました。基本設計の段階から打合せを重ね、地域の杉・桧・唐松の特性や供給体制について多くの助言を頂きました。
その結果、杉の大径木や唐松を構造材として活用し、杉や檜は造作材・建具・家具へと適材適所に使い分けることができました。地域の自然資源と技術を活かした園舎は、単なる建築物ではなく、「地域みんなで子どもたちを育てる場」へと育っていきます。
園舎づくりとは、建物を設計することだけではありません。地域の人々、自然、技術、産業をつなぎ、その土地ならではの未来をつくるプロセスでもあります。
これからも私は、地域に根差した木造建築を通して、子どもたちが健やかに成長できる環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。
















