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2025-07-26

関西・大阪万博 視察 

鉄・コンクリートの社会から、木材活用とリサイクルの世界へ

関西・大阪万博を視察してきました。前評判に比べてかなり賑わっており、私が伺った5月上旬も大盛況でした。心配されていた会場への入場もスムーズで、参加国の飲食店も10分程度並べば購入でき、トラブルなく楽しむことができました。一方でこれまでの万博(つくば、愛知)との大きな違いは、スマホが必需品という点でした。チケットの購入からパビリオンの予約はスマホが無いと、現地で並ぶしかありません。またそのスマホからの予約の方法がとても難解で、とくに高齢者にはハードルが高いと思われられました。(^^;

 さて会場に入りますと、物議を醸しだしていた大屋根リングは想像以上に、日本らしい伝統的木造建築の存在感を誇示しており、ローマのコロッセオを見た時のような感動が蘇ってき、まさに今回の万博のシンボルに相応しい素晴らしい建築でした。円(環)という形状は元来、人間の集団の象徴であって、円に囲まれたエリアは、集団や個人をまた世界も融合させるそんな意味合いを感じた次第です。

また、今回の万博では大屋根リングの外にもウズベキスタン館、中国館、北欧館、住友館、チェコ館(CLT)、加瀬直美氏が手掛けた廃校となった3棟の木造校舎を使ったパビリオンなど、木造或いは木質といった自然素材による建築がかなり目立っていました。雑誌の記事によると、日本館のファサードで使われた鉄骨や膜材は前回のドバイ万博で使用したもので、ドバイから大阪まで運び再利用されているとの事でした。その他、今回のパビリオンの多くが会期終了後に解体して、再利用することが予定されているなど、これまでのスクラップ&ビルドの社会からの大きな転換期にあると感じました。19世紀に万博が始まった産業革命の時代から150年が経ち、鉄・コンクリート・ガラスによる技術が、大規模建築を可能としその後の世界の都市の繁栄につながった事を考えると、今回の万博における脱炭素社会へ向けた木材や自然素材の新技術への取り組みが、この先の未来をどう変えていくのか、万博の精神が引き継がれるとすれば、大いに期待が高まりました。

建築家藤本壮介氏による大屋根リング。
日本の伝統構造である貫工法によって組み立てられています。良く見ると貫の接合部の作り方がゾーン(施工会社)によって3種類あり。柱脚(柱の足元)の納め方も違いました。

以下に、目に留まった木造・木質のパビリオンを紹介します。

 (下記)住友館。流線型の木のデザインがひときは目を引きます。人気パビリオンのひとつです。建築的には国産杉のCLT板(直交集成板)を円形に並べた構造体が特徴で、会場内から集めた木材や資源を循環利用することを前提に設計されているとの説明。
パビリオン内では「植林体験」を実施し森や自然と向き合い、未来へ想いを馳せる大切さを感じ続けるきっかけを提案するとの事。

(下記)ウズベキスタン館。ギリシャ神殿を彷彿とさせる建築です。 大屋根リングから撮影しました。屋上には無数の木柱が見える。森のような屋上テラスには上ることができます。木造・木質のパビリオンの中でも、完成度の高い建築です。 建築設計事務所はドイツのアトリエ・ブリュックナー。          

(下記)中国館。こちらは外観のみの見学でしたが、古代の建築をイメージさせる斬新なデザイン。建築設計は中国工程院院士・崔愷氏。中国館は“竹簡”をモチーフにした外観デザインとの事。唐詩宋詞や四書五経も刻まれたまさに「文化の書簡」。庭園の美学も取り入れた建築。

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