中大規模木造建築物視察勉強会inとちぎ
栃木県および栃木県木材業協同組合連合会の主催による、中大規模木造建築物視察勉強会inとちぎに参加して参りました。当日はJR宇都宮駅9:30に集合し、そこからバスにて二宮木材(株)、テクノウッドワークス(株)(プレカット工場)、栃木県林業センター/栃木県林業大学校等を視察しました。
車中では栃木県林業大学校長の大野様より、全国各地の林業の状況と建材としてどのように活用されているかについて説明がございました。私の思っていた以上に、業界の統廃合が各地で進んでおり大手材木店(中国木材、銘建工業、院庄林業等)が地方へ進出し、これまでの無垢製材から、集成材、LVL、合板といった工業加工木材へとシフトしている事を知りました。特に北海道や東北地方は合板の製造が主になっているそうで、秋田杉や青森ヒバなどといった銘木は、昭和の頃の話で今や天然林はかなり減少しているとのことでした。
一方で栃木県では、原木の伐採総量は≒60万㎥と全国の産地の中では多くないが、90%が無垢の製材でなかでも冬目(濃い茶色の面積が多い)が多いのが特徴で、且つ年輪が2㎜程度と目が積んでおり、強度品質ともに高く、座屈強度は国交省の強度の2倍相当。建築士は更に3倍みていると思いますので、全く問題ないとの説明でした。
二宮木材(株)様では社長自ら原木から製材、乾燥、出荷にいたる工程、在庫数・供給数等につて工場内を巡りながらご説明頂きました。乾燥材にいち早く取り組まれ現在は製材の80%が乾燥材だそうです。また出荷前の製材を拝見すると殆どの材にヤング係数の刻印されていました。一般流通木材の強度が分かる事は、建築士としてはとても安心感を持ったと同時に、杉材でもE80・E90といった強度の高いものがかなり多いのに驚きました。
また社長によりますと、これまでの製材は柱や土台が主でしたが、戦後植林した原木が大きくなるにつれて、現在は平角材に着目し、梁幅は4寸がベースで2万丁ほど在庫し、梁成はかなりの種類に対応しているとの事。また原木は外側に行くほど強度が強く、内側に行くほど低下するそうです。今後は強度(ヤング係数)により価格が変動するかもしれないとの事でした。
*JAS材のMAXはL6,000㎜×H360㎜×D90㎜~360㎜との事でした。



途中、千本松牧場(那須塩原市千本松)に立ち寄り、昼食にジンギスカン料理を頂きました。
その後、バス移動で鹿沼市のテクノウッドワークス様に伺い、最新のプレカットの加工技術の見学と県産木材の豊富な在庫数、供給能力についてレクチャーを頂きました。プレカットの供給量としては最大1000棟/月と、国内2位だそうです。因みに1位は(株)ポラテック様との事でした。
早川社長によると、栃木県の木材生産量は全国で10位、しかし林野庁から良質と評価されている。かつては木材業者が400社ほどあったが激減している。現在は、リーマンショック以上に厳しい状況だが、県、木協連と協力しながら県産木材の普及に取り組んでいる。今後は特に非住宅の分野に参入を図っていきたい、現在円安で外材のラミナーが高コストなので、県産材が安定して供給できるようサプライチェーン及びCAD化により生産効率・品質を向上させることで、市場でも外材に対抗できると見込んでいる、是非建築士の方々にも県産木材を設計に取り組んで欲しいとの事でした。



最後に栃木県林業センター/栃木県林業大学校に伺いました。初めにオールとちぎ材で作られた林業大学校の建物を見学し、その後教室内に入り大野校長より、木構造の特徴やデザイン性、また設計事務所とのやり取りで苦労した点(笑)についてレクチャーを頂きました。つづく

